とある都市生活者の独白

東京に暮らす大学院生が思いつきでブログを書いています

うつ病の友達との付き合い方を考えている

最近、友人や先輩にうつ病の診断を貰う人が多い。退学や休職も多い。私の場合、親がうつ病で、私自身も一度だけ小児うつの診断を貰ったことがあるので、幼い頃から馴染みがある言葉ではある。とはいえ、家族と友人では付き合い方が異なるので、正直戸惑う点も多い。色々と考えてしまう。

うつ病は管理職を中心に中年層が発症しやすいが、非定型うつは若年層に多い。こちらはメディア界隈では「新型うつ」という俗語でも呼ばれるので誤解も多いが、本来はDSMにも掲載された列記とした診断名である。いずれにしても、メランコリー親和型性格と呼ばれる責任感の強い真面目な人ほどリスクは高いわけで、「根気がない」とか安易な精神論に帰されるべきではない。糖尿病など「身体的」な病気と同じく、神経伝達物質の異常により、気分が本人の意に反してコントロールできなくなる「病気」なのだから、病気は病気として外在化しなければならないというのは基本だと思う。

家族ならば十分に寄り添う余地がある (無理解な家族が悪い要因となる場合もあるのだが)。だけど、友人が診断されたことを明かしてくれた時には、どういった言葉をかければ良いのかが分からない。接し方に関してよく言われるのは、「頑張れ」「早く治りますように」などと励ますのは逆効果であるということ。自分のペースで治せば良いのだし、大事なのは安息を取ることだろう。だから、自分で自分を責める人を見ると「そのままでいいんだよ」と伝えたくなるものだが、もしも私が逆の立場だったら普段通りにしてほしいし、仲の良い友人が急に優しい態度になるのはわざとらしくて嫌だと感じるだろう。だけど、どこかで優しい言葉をかけてほしいのかもしれないとも思う。やはり友人がSNSで「カウンセリングを受けても、マニュアル通りにオウム返ししてるのが分かると辛くなる」と言っていたけど、その通りだと思う。私も大学院入学後の辛い時期に学生相談室に駆け込んだことがあるが、「辛かったんだね」と言われてもどこか白けてしまったのを覚えている。

結局のところ、相手がどう感じるのかは分からない。「うつ」と言っても非定型を含めて色々なパターンがある。少なくとも、本人の感じている抑うつ状態は主観的な苦痛であって、それを客観的な原理でアドバイスしようとするのは無理解になってしまう。「よくあることだよ」などと自分の経験から語るのも同じかもしれない。そもそも「薄情だと思われたくないから何かする」というのも利己的な考えだし、やはり相手が話すのを待って聞くしかないのだろう。そうやって何も言えずに距離を置いてしまうこともある。大学時代にサークルを辞めた後に自殺してしまった知り合いがいるので、どうしても「友達だから何かしないと」と焦る気持ちも強いのだが、「友達だからこそ気長に待つ」のが正しい選択だと信じてみる。